インパクト投資
インパクト投資、という言葉を聞いたことはあるでしょうか?日本では比較的新しく、整備が始められ注目されている分野です。少しずつ整理して理解していきましょう。
インパクト投資とは、経済的リターンを目的とすると同時に、環境課題、社会課題への良い影響を生み出すことを意図した投資手法のことを言います。
インパクト投資の「インパクト」とは、一般的には「影響や効果」という意味で使われますが、投資ではもう少し具体的な意味を持っています。
通常の投資とインパクト投資はどのように違うのでしょうか。従来の投資は、経済的リターンを大きくするということが最大の目的です。環境や社会に与える影響について考慮されて選択されることはほとんどありませんでした。
また、寄付には、経済的リターンは考慮されていません。通常の投資と寄付とは反対の性質があります。1960年代以降、通常の投資の側面から、社会的責任投資と呼ばれる投資が行われるようになりました。同じころ、慈善的寄付の側からも関連分野への投資が試みられるようになっていました。
社会的プログラム投資、サスティナブル投資を融合し、インパクト投資という概念が2000年代に入って生まれることになりました。インパクト投資を世界で推進するため、日本においては2014年にGSG国内諮問委員会が創設され、現在、さまざまな分野を超えて、インパクト投資の発展のために活動が行われています。
ESG投資との違い
従来の投資はリスクとリターンによって投資先を決定します。インパクト投資では、リスクとリターンが同じ程度であれば、インパクト評価の高い投資先を選択するという考え方になるでしょう。
寄付とも少し異なります。SDGs達成には実は大きな資金が必要なのです。インパクト投資は、SDGs達成のための資金を補うものとしても注目されている、これからの投資と言えるのではないでしょうか。
インパクト投資の4つの要素
インパクト投資の主な要素は次に解説する4つです。
・意図があること
インパクト投資は、社会面・環境面での課題解決を意図するものであることが大切です。投資をする際には、企業がそのような意図をもっているか確認して行います。
・財務的リターンを目指すこと
インパクト投資は、財務的なリターンと社会的リターンの両立を目指すものです。社会や環境での課題解決に貢献しながら高いリターンを目指します。
・広範なアセットクラスを含むこと
インパクト投資は、株式、債券、融資、リースなど一切の金融取引を対象として多様な資産を含む投資です。
・インパクト評価を行うこと
インパクト投資を行う企業は、社会面・環境面の成果やパフォーマンスを把握し、評価
・報告を行います。
世界のインパクト投資の規模は、2017年から2022年までに10倍になっています。日本国内では、2021年度のインパクト投資残高が1兆3,204億円で、前年度調査の4倍に拡大しています。
インパクト志向金融宣言に署名している機関は、2022年11月末時点で42機関、賛同機関は7機関です。ご存知の金融機関も多いのではないでしょうか。ご自身の預金や保険料の運用が、世界を変えているかもしれません。
市場の拡大に伴って関心が広まっていくと思われます。インパクト投資に注目していきましょう。